帰り来ぬ青春 <Hier Encore>

作詞:Charles Aznavour 作曲:Georges Garvarentz
日本語詞:ほさか夏子

それは春の性(さが)
恋焦がれる 月夜の猫
あたりかまわず 探し求めて
深手を負い 涙にくれた

手当たりしだいに 吠える野良犬
住処を求め 牙をむいた
時には爪が おのれの心にまで
突き刺さって 抜けなかった

あの道は もういい
引き返したくはない 繰り返したくはない
けれどそこには あふれていた
あたりまえすぎて 気づかなかったものが

何も知らずに 覚えたての言葉で
語り合った 熱き夢が
グラスの中には 果てしない明日が
共に傷つき 笑いあった 仲間が

一人 また一人
召されていく 時代が消える
共に見たもの 共に聴いたもの
あの涙が 笑いが消えていく

ひとつ またひとつ
住処が 消えていく
刻まれた皺の数ほど 変わりはしないのに
この心も この愚かさも

はじける肌は すべてを引き寄せ
紡いでいた 命のうたを
取り戻せぬ 春の命のうたよ