作詞:Jacques Brel 作曲:Gérard Jouannest
日本語詞:奥野秀樹
たとえば オランピア 満員の客があたしを呼んでる
シャネルのドレスの肩紐を外し ちょっと流し目で
歓声だか罵声だか知らないけれど なんて声出してんだ!
とにかくお前たちを喜ばしてやる それが仕事だから
欲しいんだろ 忘れたいんだろう みだらな刺激に飢えてるんだろう
もっともっともっともっと もっと欲しいんだろう
勝手にしやがれ いつか分かるさ
愛で固めた偽のチョコレート ナツコ
誰か聴いてくれ もう一つのあの歌を
何も知らなかった あの頃の 愚か者の歌
たとえばある朝 目覚めたベッドに 見知らぬ男がいた
涎を垂らして 背中を丸めて どんな夢見てる
どこで拾ったんだか忘れちゃったけど あたしはこの手の男に弱い
ついほっとけなくてさ
寂しいんだろ辛いんだろう まっとうな道を一度外れりゃ
みんなシカトさ 誰も彼も 振り向きもしない
ここが墓場なら いっそマシだろう
酔っぱらい達の共同墓地さ ナツコ
誰か聴いてくれ もう一つのあの歌を
ただただ叫んでいた あの頃の 愚か者の歌
たとえばもう一度 生まれ変われたら 何になるだろう
新しい時代は こんな女でも 許してくれるか
それとも優しい父と母に なめるように可愛がられてさ
何不自由なくどころか 天は二物を与えたなんて言われて
誰からも愛されて バラ色の青春時代を 当たり前のように過ごして
気づけばどこかの玉の輿に
そんなはずはない やっぱり地を這う 虫になるだろう
ナツコはナツコだ ナツコ
誰か聴いてくれ もう一つのあの歌を
一人ぐらいは救えただろう あの頃の 愚か者の歌